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「…言いたい事はそれだけか?
アイツが式に来るんやったら、僕は欠席させてもらう!
もう二度とこの話はせんとってくれ!」
バンッ!とテーブルを叩いて自分の部屋に閉じ籠ってしまった父。
誠さんはドア越しに何度も話し掛けたけれど、父からの返事はなかった。
もうやめて!と私は誠さんにすがりついた。
母が参列してくれるならこんなに嬉しい事はない。
でも父の気持ちを思うと、それが単なる我が儘のような気がしてならなかった。
父に反抗らしい反抗をした事がない私。
誠さんがしてくれた約束はとても嬉しかったけれど、結局私は父に何も意見できないまま、またしても諦めていた。
「愛はこれでほんまにええんか?
オレは納得できへん!
お父さんは逃げてはるだけや!
一生に一度の事やのに、自分の体裁よりも娘の気持ちを一番に考えるべきちゃうんか?!」
このままでは誠さんと父の関係までおかしくなってしまう。
そんなのは絶対にイヤ!
「私は…私達を捨てて出ていったお母さんより、今まで育ててくれたお父さんが大事!
もうやめよ?誠さん…
気持ちは嬉しかったけど、やっぱり最初から無理があったんよ…」
私はお父さんに届くように、大声で叫んでいた。
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