Episode-Ⅳ 風は吹く

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■桜ヶ丘霊園墓地 ━━洛西シキ━━━━━━━━ 爽やかな夏風が頬を撫でる季節。 俺は唯一人、桜ヶ丘の山の山頂にある霊園へと足を運んでいた。 山頂といっても、徒歩四、五分で辿り着ける距離。 辺り一帯に聴こえるのは、優しく吹く風の音のみだ。 山の中だっていうのに、蝉の鳴き声すら聴こえない霊園。 俺はその中で、一つの墓の前に立っている。 墓に刻まれているのは、大切な親友の母親の名。 俺は花を入れ替え、線香を上げた。 両手を合わせ、目を瞑ると浮かんでくるのは、二年前に姿を消した親友の姿。 「ここに来るのも何度目になるか……」 俺はふと、そんな事を考え、そっと目を開けた。
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