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「いたぞ! こっちだ!」
そんな中――左右の通路から数人の兵士が現れ、大きな声を上げた。
それによって、敷地内の兵士は一気に二人の下へと集結する。
その数、ざっと四十人。
しかし漆黒のコートを纏う男性は、一切動揺する事なく黒刀を構えた。
「やはり地方の支部……夜中とはいえ、この程度の数か。それにユーザーも少ない……」
そう呟いた直後――男性は微かな残像を残し、姿を消した。
「左手に宿りしは断罪の力……」
刹那――新たなる鮮血が辺りを舞う。
四十といた兵士は僅か数秒で紅に染まり、その身を永遠に大地へと預ける事になった。
一帯を包む、鉄の臭い。
男が左手に握る黒刀からは、深く紅い血が滴り落ちる。
傍らに佇む少女は、落ち着いた様子でその一部始終を傍観していた。
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