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紅輝は自分の悩みのタネである少女を盗み見た。
そして少し目を丸くし、ため息をついた。
「朱璃(しゅり)。ズボンは頭に被せるものじゃない」
少女の今の姿は頭にパジャマのズボンが被され、上は右肩が見え、ボタンは一つしかついていない。
「ったく……来い。着替えさせてやる」
紅輝に呼ばれ、朱璃はトテトテと紅輝に歩み寄る。
紅輝は朱璃の頭からズボンを外し、見えていた右肩をパジャマの中に入れ、袖を通らせ、ボタンをすべてとめる
そしてズボンをはかせ、ポンと朱璃の頭を撫でた。
「はい、終わりだ」
朱璃はコクリと頷き、寝室に向かった。
朱璃は必要最低限のこと以外は喋らない。
そして、表情に至っては一切変わらない。
まるで、人形のように……
一体何者なのか疑問は募るが、朱璃は話さないため何も聞けない。
紅輝は片手で顔を覆い隠し、ため息をついた。
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