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青年はとある大きなビルの最上階から真っ赤なソファーに座り下を眺めていた。
部屋はきらびやかな物で、キラキラと様々な物が輝いている。
置いてある花瓶一個でうん百万はするだろう。
だが青年はそんなきらびやかな装飾も全く気にした様子はなく、頬杖をつきただボーッと外の景色を眺めていた。
だが、人の足音を聞き、ドアに目を向ける。
カチャリとドアが開き、中年の髭面の男と白髪で眼鏡をかけた執事らしき男が入って来た。
「やあ、紅輝
待ったか?」
「ええ、結構」
中年の男の問いに素直に答える紅輝と呼ばれた青年。
青年の言葉に男は笑う。
「君のそういう一切相手に気をつかわないとこも好きだよ」
「無駄なご機嫌とりはむしろ俺の機嫌を損ねるでけですので用件をお願いします」
「全く
君はせっかちだな」
中年の男は小さなため息を吐いて、懐から出した黒い封筒の手紙を紅輝に渡した。
紅輝はそれを開封し、目を通す。
『緋の者
中村重雄(なかむらしげお)をターゲットに』
それからそのターゲットの個人情報がつらつらと書いてあった。
緋の者とは紅輝の裏の名前。
彼はトップクラスの殺し屋なのだ。
「報酬は一千万か……
この程度の小者なら上等だな」
「頼んだよ」
ニッコリと笑う中年。
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