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闇の中、一人の男が細い路地を必死に走っていた。
何かに怯えるように周りを見回し、大事な物を抱えるようにひたすら走っていた。
だが、男の目の前に何者かが現れる。
全てを漆黒に包み込んだ男。
口元も黒い布で覆われていた。
「ひいっ」
男はその場に尻餅をつく。
「うっ嘘だ……っ
『緋の者』が俺なんかを……」
「夢か現かその身をもって知れ」
『緋の者』と呼ばれた男は抜刀の一撃で逃げていた男の首を跳ね飛ばした。
血が噴水のように溢れ出し、生首が転がる。
そして男の血で汚れた風呂敷に包まれた何かを拾い上げる。
中には裏取引の際の書類のコピーが入っていた。
「こんな大事なもんをこんな小物に盗られるんじゃあ、あの会社も危ないんじゃないか?」
そんなことを呟きながら資料を完全に燃やす。
そしてケータイを出した。
『やっーほーひーちゃん
毎度ごひいきにどーも~』
「掃除屋
その呼び方は止めろ」
『だって「緋の者」って呼び辛いんだもん
で、今日の依頼内容は?』
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