Episode・1 少女

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闇の中、一人の男が細い路地を必死に走っていた。 何かに怯えるように周りを見回し、大事な物を抱えるようにひたすら走っていた。 だが、男の目の前に何者かが現れる。 全てを漆黒に包み込んだ男。 口元も黒い布で覆われていた。 「ひいっ」 男はその場に尻餅をつく。 「うっ嘘だ……っ 『緋の者』が俺なんかを……」 「夢か現かその身をもって知れ」 『緋の者』と呼ばれた男は抜刀の一撃で逃げていた男の首を跳ね飛ばした。 血が噴水のように溢れ出し、生首が転がる。 そして男の血で汚れた風呂敷に包まれた何かを拾い上げる。 中には裏取引の際の書類のコピーが入っていた。 「こんな大事なもんをこんな小物に盗られるんじゃあ、あの会社も危ないんじゃないか?」 そんなことを呟きながら資料を完全に燃やす。 そしてケータイを出した。 『やっーほーひーちゃん 毎度ごひいきにどーも~』 「掃除屋 その呼び方は止めろ」 『だって「緋の者」って呼び辛いんだもん で、今日の依頼内容は?』
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