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気がつけば見知らぬ場所にいた。頭は靄がかかったかの様にぼやけていて、一体何が起きたか思い出せない。
周りを見てみよう。地面は雲の様なもので出来ていて、空は黄色い。周りには昔の中国風の建物が建っている。まるで昔話に出てくる天界だ。
とすると僕は死んだのか。不思議と驚きはない。
ああ、何となく思い出してきた。確か廃墟に友達と行って、二階から物音がしたから見に行って、階段の踊場の床板が腐ってたらしく踏み抜いてしまい、バランスを崩した僕は頭から階段を滑り落ち、打ち所が悪く南無阿弥陀仏……。
やばい、しょうもない。多分友達は呪いだ何だとか言い出すだろう。もしかしてひと夏の思い出を伝説へと昇華させちゃったのか。
さて、どうしようかと考えていたら、一番近くの建物からなにやら話し声が聞こえてきた。
「……山田太郎。享年17歳。まだ若いのに下らなく死んだものだ」
僕の名前だ。こんな名前むしろ珍しいし、年齢的にも僕で間違いない。下らなくて悪かったな。
「次の生まれ変わりはニルボッダ星のヒヒイロパヌマヌンマで決定。誰か霊体を捕まえてこい」
ヒヒイロなんだって? もしかして、いやもしかしなくても捕まったらそのヒヒイロなんたらに強制転生?
やってられっか! まだ初体験はおろか女子と手すら繋いだことがないってのに、そんなわっけわかんない星のわっけわかんない生物なんかになってたまっか!
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