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「ん、んん」
ザザー、ザザーと波の音がする。
「ぺっ。ああ、体中がジャリジャリする」
砂浜に打ち上げられたらしく、口の中まで砂が入り込んでいた。
起き上がり周りを見てみる。
照りつける日差しは真夏の埼玉よりも強い。浜辺の先には熱帯雨林が広がっていて、多分ここは日本じゃないだろうなという思いが頭をよぎった。
「まあ最悪地球のどこかだろ……う?」
思わず言葉に詰まった。何故かって、目の前にここが地球であるという前提を覆しかねないものがいるんだもん。
「ホロホロホロ」
フヨフヨと浮いている、手と髭とたてがみと角の生えた蛇の様な生物。
大きさこそ本当に蛇みたいに小さいけど、浮いてるって。これじゃあまるで……
「龍じゃん」
何? 第何世界やらなんたら星やら言ってたし、もしかして別の世界に来ちゃったの? ここは異世界? まじで?
「ホロホロホロ」
龍らしきやつは僕を一瞥すると興味なさそうにジャングルへと入っていった。
何だったんだろう。
さて、まずどうしようかとその場にしゃがみ込んで考えていると、 ふと天界からパク……借り受けてきた指輪の事を思い出した。
(金の指輪は頭の中の事象を生む。銀の指輪は頭の中の物を創る)
指輪は金を右手の人差し指に、銀を左手の人差し指にそれぞれはめている。
とりあえず服がほしい。今はビショビショで気持ち悪いし。
試しに欲しい服を思い浮かべて銀の指輪に意識を集中してみた。
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