第Ⅰ話 星の彼方

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「なんでやねん!」 そんな言葉が当たり前な今日この頃。昔は天下の台所とも言われて今でもその名残が残る。 秀吉という天下の武士がそこで大層な城を建てたのは今や昔の話。 そうここは大阪――――――――とはかけ離れた田舎の小さな町。 本当に遠く、もしかしたらもうすぐ別の県なんじゃないか?というぐらい遠くそして何もない。 平凡でのどかな町だ。 おっと村まではいかないぞ。 あくまで町だ。 そんな場所に一月前から住み始めている俺。 それまでは東京で都会生活を満喫していたが、おじいちゃんの他界によりここにやってくることになった。 まあ、いろいろ苦労している訳だ。 「奏太!隣のお姫さまが迎えにきてるわよ。早くしなさい!」 こう俺の生活リズムを急かしてくるのは我が姉上。 星野秋(ホシノアキ)。 ボンキュボンのナイスバディな体と美麗な面顔で大学ではかなりモテているらしい。 俺もそうだろなと納得できる。 てか、お姫さまってまた大袈裟だな、確かにお姫さまだけど。 俺の想像していたお姫さまは――――― 「早くしろと言ってんだろがああ」 階段をドタバタ降りているところで、物凄い形相の姉貴がフライパンを片手に現れた。 ちょ、さっきのん取り消し。 「ちょっ姉ちゃん!俺を見てみろよ!ちゃんと急いでるだろ!……てか、そこどけよ!」 慌てて解釈する俺にフライパンで俺の頭部に打撃を加えた。 「急ぐんだったらさっさと起きろ」 ……あんたは鬼ですか。
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