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「それにしても……仕事とはいえ直接来るのね。シークレットサービスの長官ともあろう貴方が」
「魔の物と契約したので。力を得た代わりとして職務に全うせよとのお告げが」
真面目な魔の物だなおい。
専用車両の中で会話を交わす私達。
メルヴィン・フランシス、目の前にいるシークレットサービス長官だ。
私はよくメルと呼ぶ。
絵は描けない。
銀髪で容姿端麗、女性であれば誰から見ても近づきたくなるテライケメン。
ただし厨二病、残念なイケメン。
シークレットサービスは大統領・副大統領及びその一家、ホワイトハウスの警護を行う、国土安全保障省傘下の警察機関。
そして今回は私、アメリカ合衆国大統領ことエステル・C・H・ジェファーソンを迎える為に長官がわざわざ来たという事だ。
そもそも大統領が変装してるとはいえ、堂々と街を歩く事自体いけないんだけども。
暗殺されたら大変だからね。
でも私とて世間的には大学生になるかなー位のお年頃、警備の中歩くのは堅苦しい。
そういう我儘な言い訳でホワイトハウスの警備をすり抜け、外出してはこうやって連れ帰られてしまう訳で。
就任してまだ1ヶ月過ぎるかなといった月日しか流れていない。
発想の柔らかな、若い視点を得られるとして大統領選挙憲法が改正。
そして改正後、爆発的増加を見せた候補者の中で歴代初の私という19歳大統領が誕生した。
因みにメルは見た目こそ若く、22歳と言っているが、前大統領・前々大統領にも仕えていた事からもっと上だろう。
個人資料を調べても特に出て来なかったどころか、白紙に近かった。
謎が多い人物ではあるが、厨二臭くも仕事はきっちりこなす奴だ。
あとは口さえ閉じてりゃ良いものを、勿体ない……。
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