プレジデント・ガール

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護身魔力がこもって厄災が降り掛からなくなる(らしい)怪しげな水をよく分からない説明と共に渡された。 ラベルは……ルーン文字とかいうオカルトな友人がかっこよさげに言っていた気がするけど。 読める訳ない。 そして水の色透明掛かった紫なんですけど。 所々絵の具を水に浸けた時のふわーっと広がっていく赤い模様みたいなのもできている。 仮にも、腐ったとしても大統領よ私? 勧める物としては間違ってる……と思う。 しかし彼の目は本気。 毒でも無いのは保障してくれている。 爆弾解除の如く慎重から一転、ごきゅっと一気に半分程飲み下す。 ──ブルーベリーとラズベリーで美味しゅうございましたよくそうっ。 気付けばお昼過ぎ、ワシントンD.C.に到着。 何時もの白い建物がお見えになってきた。 迎えたのはシークレットサービス職員、副大統領に── 「うげっ、お父さん……」 父親、セオドール・H・ジェファーソン。 アメリカ陸軍大将、要は軍隊の中では最上位と言っても良い。 手首には手錠が掛けられているが、逮捕されているわけではない。 それは黒いブリーフケースと繋がれており、中身は機密。 その中身の所為で常に大統領、つまり私の傍にいなければならない。 今は特に説明しないけど、その内すると思うよ。 国際会議あるしロシア挑発的だし。 知りたけりゃ我が国のカリフォルニア州に本社を置くGoogle社の力を使って『核のフットボール』とでも探せば良いよ。 そんな事より大事なのは父が常に傍にいる義務を負っているという事。 国を第1に考える脳筋な親だよ? やめてよ……職員こないで……! 開けないで、ドアというシールドを壊さないで! 私はATフィ〇ルドなんて張れないのに! 「……エステル、オーバルオフィス(大統領執務室)に来るんだ」 開けやがったよ察せよこの位。 空気で車外へと引き摺りだされる。 やばい、トーンが低いよ。 アイコンタクトで救難信号を送るべく、車内にいるメルの方を振り返る。 いねぇ。
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