プレジデント・ガール

4/12
前へ
/12ページ
次へ
「くそう……くそう……あ痛っ!? ちょ、私のツインテがっ、曲がる折れる直角になる~っ!!」 「グチグチ言わずさっさと来いっ! 全く、お前はもう国を率いる大統領なんだそ! もっと自覚を持って……」 これ以降は聴覚よりも痛覚が勝ってしまって聞こえなかった。 聞きたくもないけど、今はズルズル引き摺られて痛みに耐えるしかない。 途中上級スタッフが苦笑いで視線を外す。 悲しいかな、5本指は超える数を見られている気がする。 やがてオーバルオフィスに到着。 合衆国旗、テーブルに歴代大統領も座ってきた椅子。 そこに腰掛けて私の署名が必要な書類に目を通し、スラスラッと名前を書いていく。 傍に立っている父はまだ何か言っているが聞く気もない、これっぽっちもない。 やがてドアがノックされ、何人かが入ってきた。 主席補佐官、国務長官、国家情報長官……エトセトラ。 それぞれが挨拶から始まり、世界や国内の情報を報告する。 日例報告。 本当は大統領が朝初めの仕事として行うんだけど、起きてすぐ脱走したからね。 「──これで以上となります。ロシアの我が国に対する情報収集が目立ってきておりますが如何致しましょう?」 「う? え、えーと……防諜、だっけ?漏らさないようにがっちり守って」 ……こういうのはどうすればいいか、まだイマイチ分かってない。 専門的な事はそれを専門とする省庁の長官に任せれば良い、むしろせざるを得ない。 だって仮に経済とか政治、対外政策が分かったとして、よ? 全て大統領が指揮できる? 断じて否、無茶にも程があるね。 大統領は国の顔。 条約結んだり、大統領や首相同士仲良くする事でそれが国の友好関係に繋がったりする。 アメリカを維持、望めるならより良いアメリカを実現すべく政策や方針を伝える。 少なくとも私の仕事はそういうものだと考えてるよ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加