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「し、死ぬかと思った……。」
あの後突撃された挙句他のクラスの女子まで集まってきて様々な質問をされた。
好きな食べ物とか好きなこと、女の子のタイプとか聞かれた。
「結婚してください。」
「襲ってください。」
なんて声が聞こえてきたのは忘れたいこと。
質問をされている間に楓も彰も姉さんも帰ってしまった。
なので今は一人でとぼとぼとさびしく帰っている。
「不幸だ…。」
自分の災難を頭を項垂れて思い出していると
「凍麻ー!!」
「うおっ!……………誰?」
そう、俺の名前を呼びながら背中に飛び乗ってきたのは俺の知らない、美少女だった。
「あれ?同じクラスなのに知らないとかひどいよ~。」
背中を指で突きながらぶーぶーと文句をいってくる美少女。
「とりあえず降りてくれよ。俺、遅刻したからみんなの自己紹介聞いてないんだ。」
するとポカーンとした顔になりながら「いきなりごめんね。」と言いながら背中から降りた。
「そうだったそうだった。忘れてたよ~。私の名前は川越 光(カワゴエ ヒカル)。市立東中学校出身だよ。よろしくね、凍麻!」
ニコッと笑って挨拶をしてくる川越。
まるで太陽みたいに明るくてとても可愛かった。
でもなんで―――――全く知らない川越が俺のことを『凍麻』と呼ぶんだろうか。
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