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走って汗をかきながらMyハウスについた。
肩で息をしながら玄関のドアを開けると
「とーくん♪」
もの凄い笑みを浮かべた涼子が立っていた。
「た、ただいま姉さん。」
「うんおかえり~♪」
やばいやばいやばい。
こんなに笑っているのに恐いとしか思えない。
いつも笑っている姉さんだがこういう笑みの時は完全に怒っているとき。
まさか――――姉さんも遅刻したことを怒っているのか……。
「ご、ごめん姉さん。遅刻したのは悪かったです……。」
「ん?別にそのことでは怒ってないよ~。遅刻するのはいつものことだもん。」
うん、いつも遅刻してごめんなさい。
でも遅刻しない日のほうが多いんだよ。
そこの読者、毎日遅刻しないのが普通とか言うな。
起きれないんだよ、俺は。
「じ、じゃあなんで姉さんは怒ってるのかな?」
恐る恐る聞いてみると涼子はこう答えた。
「私、『遅刻したら楓ちゃんに怒られちゃうよ』ってちゃんと言ったよね?」
……そのことか。
確かに楓は怒っていたな。
いつもは殴ってきて終わりなのだが今日は違った。
怒りようが違うのだ。
「楓ちゃん、とーくんと一緒に入学式の登校がしたくて外でずっと待ってたんだよ?」
突然真剣になった姉の口からは、春休みボケをしていた俺の頭を目覚めさせるのには十分な一言がでてきた。
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