1人が本棚に入れています
本棚に追加
「犬や、ねこみたいなのもみえるよ、」
と彼。
「‥そお?」とあたし。
「オレ、むかしいわれたんだよ‥占い師にさ、」
「なにをよ」
「ながくつれそうパートナーを得るけれど、あなたはその価値に気づかないうちにそれを失う、って」
「あなたが?」
「うん。オレは女と二、三年もつづいたことなかったからさ。テキトーなこといわれたんだろうな、って‥てっきり思ってたんだけど、そうじゃなかった」
「‥」
「二十年飼ってたねこがさ、死んだんだ」
「‥そう。」
「うん」
「あなたは、人間あいてより、ネコむきかもね」
「なんだよそれ」
と彼はわらったが、夕まぐれの闇に、彼のかおはおぼろににじむ。
最初のコメントを投稿しよう!