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「ん?」
太一さんが何かに気づいたらしい。
彼は私の横をすり抜け、屋上の手すりから身を乗り出した。
「おい、あぶねえぞ!」
「あ……いや、あれは何なのかなって思ったんっすけど」
太一さんの指差した場所には、飛行している物体が沢山確認できた。
まさか……!
「……竜!?」
「いや、どっちかと言うと丸っこいから……多分、竜ではないんじゃないかな」
竜じゃないにしても、あれはふよふよと僅かに動いている。
と言うことは……敵?
「……私は敵を呼び出してしまったってことなんでしょうか?」
「うーん。まだ一概には言い切れないけど。その可能性はあるね」
「おい、じゃあペンタグラムは罠だったのかよ?」
私達がその謎の物体の正体を話し合っていると、
「大丈夫、みんな安心して。あれは敵じゃないみたいよ」
尚美さんがこの屋上に出現した水晶玉を眺めながらそう答えた。
「えっ?」
私達は一斉に振り返る。
「じゃああの丸いのはなんなんっすか……?」
「あれも巨大な水晶玉。ペンタグラムによってレイピアの封印が解けたの。あそこはプレイヤーが有利に戦えるポイントよ。あの下で戦っている時のみ、武器が魂砕きのレイピアと同等の効果を得ることができる」
「へえ……そうなんだ」
でも尚美さん、なんでそんなに詳しいの?
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