『出発』

3/8
前へ
/200ページ
次へ
ゆみんは顔をしかめる。 「ちょっと、いきなり不細工な顔見せないでよ! ビックリするじゃない」 「ほえっ!? ぶ、ぶぶぶ不細工……って……僕?」 金田さんは自分を指さしながらも、辺りをキョロキョロする。 どうやら軽くパニクってるみたい。 「そーよ! あんた以外に誰がいんのよ」 「ううぅ……ひどい。確かに僕は不細工ですけど……ヒック。そ、そんなに、はっ、はっきり言わなくても、うぅ……いいじゃないですかぁ。グスッ、ズビッ!!」 金田さんは鼻水を垂らして泣きだしてしまった。 どうやら彼は容姿のことを言われるのが苦手らしい。 「ふふふ。なにこいつ、弱っ。やっぱり扱いやすそうな奴ね。パシリ君に最適だわ」 ゆみんはそう呟きながら後ろに下がる。 そしてナイトメアをいじりだした。 その姿を見た中谷さんはうなだれる。 「マジ!? ……ゆ、ゆみんってあんな人だったのか! 知りたくなかった。うわー、俺の恋心を返してくれーっ!」 どうやら彼は春木ゆみんのファンだったようだ。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67983人が本棚に入れています
本棚に追加