『出発』

4/8
前へ
/200ページ
次へ
ゆみんがメールを送っている間、私達は集まって話をしていた。 「金田さん、大丈夫ですか? 元気出してください」 「うぅ……ううぅ……ズビッ! 僕だって……僕だってイケメンに産まれたかったのに……ヒック」 「金田さんよ、顔のことなんて気にするな。ワシも魅力ないぞ。だが、美味い物が食えればワシは幸せだからな。世の中、顔じゃない。飯だ! さらに言うと牛丼だ。生きている間に何杯食えるかが大切なのだ」 「お……おっさん、ホント幸せだよね。その考え尊敬するよ」 田中さんは金田さんの肩に手を回し、元気づけるためだろうか? 変な歌を大声で熱唱し始めた。 「ドンギュー、ドンギュー、ギュギュギュギューン♪ ワシとギュードン♪ カネダサーンとギュードン♪」 「わっ……ひっ! や、やめてください、恥ずかしいです、わ、わわわっ! わあっ!?」 無理やり振り付けをレクチャーされる金田さん。 周囲からドッと大きな笑いが起こる。 沢山の犠牲者を出してしまった為、沈みがちだった皆の顔に少し活気が戻った気がした。 なんて言うか……田中さんの周囲を巻き込む力はやはり凄い。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67983人が本棚に入れています
本棚に追加