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「そうか、じゃあ言ってみろ」
「お前の血を吸うこと」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「そうか・・・・じゃあ吸うか?」
「いいのか?吸ったら最後、お前は死ぬぞ」
「言い訳ないだろ。僕だって死にたくない」
「だったらなぜ?」
「知らん。知らんから取り敢えず吸っとけ」
僕は、そう言って彼女の顔を無理矢理、首もとにもっていき吸わせた。
血が無くなるのがわかる。体から無くなっていく。うーん、姉貴は心配するだろうか?いや、しないな。うん。
僕は頭の中でそんなこと考えながら意識が真っ暗になった。
そして目が覚めて周りを見渡す。そこは僕の部屋だった。夢か?とかベタなことを考え無意識に首もとを触る。そこには誰かに噛まれた後があった。夢じゃなかったか・・・・ならあの女はどこへ――
「よう、ご主人。目が覚めたか?」
「・・・・・なんでいるの?」
そこには僕が昨日、血をあげた美女がいた。ていうか吸血鬼だった。
「ご主人と契約したからじゃ」
「はっ?契約?」
「そうご主人と我は契約したのじゃ、左耳を見てみよ」
僕は洗面所に行き鏡を見た。僕の左耳に1つのピアスが着いていた。しかも取れない。
「これなに?」
「契約の証じゃ。我かご主人、どちらかが死ねば取れるようになっておる」
「はぁ~、そう。でなんで家の事知ってんの?」
「血を飲む時、一緒に記憶も流れるのだ。家の場所を知るなど造作もないわ」
「そうかい、身体はなんともなってないからいいか」
「いや、そうでもないぞ」
「えっ?」
「我と契約したとき代償として命をもらっておいた。当たり前であろう?我と契約するとなるとそれ位当然」
「でも僕生きてるけど・・・」
「それは命と引き換えに手に入れたのは我と同じ力だからな」
「例えば?」
「高速再生とか剛力とか不死とか」
「はっ?不死?お前、昨日、死ぬとか言ってなかったか?」
「それは血が充分にある時の事だ」
・・・・コレが僕に起こった不幸である。
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