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「のう?ご主人。飯はまだか?」
「あれっ?吸血鬼も飯とか食うの?」
「いや、ただの暇潰し」
暇潰しで僕の食費を圧迫しないで頂きたいものだ。
僕は取り敢えずトーストと目玉焼きというベタな朝食を出した。
僕も食べようとしたがあまりお腹が減っていない。その代わり喉が渇く。水を一杯飲む。しかし満足しない。なぜ?
「血を求めているのよ」
「へっ?今なんて?」
「だからご主人が血を求めておるのよ。いわゆる吸血衝動ってやつだな」
「抑える方法は?」
「無い」
カチャカチャと食器と食器が擦れる音が響く。
そしてもう1つ気付いた事。それは髪の色が銀髪になった。
決して染めた訳ではない。昨日、噛まれた傷から彼女の血が入ってしまったのである。だから今、僕はドラッグストアにいる。
学校は『すみません、ちょっと頭がおかしいので休みます』と嘘を言って休んだ。
多分、学校側は頭痛かなんかだと思っているだろう。別に嘘ついた訳じゃないからいいだろう。
ちなみに彼女アリスエイドも一緒にいる。1人にしたら何しでかすか分からないからである。
しかもさっきまで「ここは何だ?薬品臭い。消し飛ばしてやろう」とか物騒な事言ってたのでマスクを買い着用させた。
本題に入ろう。僕がドラッグストアに来たのは髪を黒に戻すためである。僕は高校3年間、目立たず平穏な毎日を送れればいいと思っている。しかも高校は髪を染めるのは校則に反するのでダメなのである。
しかし今の状況が一番嫌だ。なぜなら俺の隣に銀髪美女がいるということ。道を歩けば『見て!あの外人のカップル超お似合いだよね』とか『可愛い』『美人』『萌え』などがある。そして俺も意外だったが言われた。『格好良い』『クールそう』とかである。
言われて見ると悪い気はしないが注目されるのは嫌いだ。
俺はさっさと買って家に向かって歩いた。
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