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「うむ、これも美味だな」
「そうか、それは良かった」
確かに美味しかった。しかしこの喉の渇きは潤わない。
吸血衝動を心の奥深くに押しやる。
そして風呂に行く。アリスエイドに先に入らせようとしたが吸血鬼は水が苦手だった気がしたので言うのを止めた。
風呂に入った時少し身体がピリピリしたが気にしなかった。
「ふぅー、いい湯だった。アリスエイドはやっぱり入れないのか?」
「いや、そんなことは無いが・・・」
「どうしたんだ?」
「いや、どうもあのピリピリが嫌でな」
「えっ!あのピリピリって吸血鬼に起こる現象なの?」
「そうだ、身体が水を拒否しているのだ」
「てことは、僕の身体は・・・」
「吸血鬼化しておる」
「そうなのか!?」
「なんだ、ご主人?嫌なのか?じゃあバンパイア化では、どうだ?」
「一緒じゃん!」
僕は信じられなかった。吸血鬼の力を継承するとは聞いていたがこんなリスクも継承するなんて・・・
「まぁ、身体に異常は無いようだし大丈夫だろ」
他人事!?
僕は驚きを通り越して呆れたので自分のベッドに向かった。
するとアリスエイドもついてきた。
「どうかしたのか?」
「いや、その・・・・」
アリスエイドは、なぜかモジモジしていた。
すると突然、僕を押し倒した。
「おい、ちょっと」
「ご主人、我はもう我慢できん」
そう言ってアリスエイドは僕の首筋に噛み付いた。
「なあああああぁぁぁぁぁ」
血を吸われた。
「ぷはぁ、満足満足」
「アリスエイド、何するんだ!」
「血を吸った」
「知ってる。僕も吸血鬼じゃなかったのか?」
「吸血鬼だよ、半分わ」
「半分?」
「そう、ハーフバンパイアってやつだ。だから我は人間の方の血を吸ったのだ」
「そうだったのか・・・」
「だから完全に吸血鬼になったら風呂のピリピリなんて比にならないくらい痛いぞ」
「・・・・・・・・」
僕は絶句した。
そして血が足りなくなったのか気が遠くなった。
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