1人が本棚に入れています
本棚に追加
アリスは死に焦がれていた。
何故なら、彼女は呪われていたから。
この世界に生きている意味を彼女は見いだせない。
この世界に居ることが苦痛なのだ。
だからこそ、彼女は列車に乗り、窓から外の景色を見つめ、思いを馳せる。
生きる事の無意味さを。
そして、死んだ後の世界を。
だが、今日の彼女は珍しく全く別の事に思いを巡らせていた。
いや、ただわくわくしていた。
最近、ここから離れた小さな町に死神がいたという情報を掴んだのだ。
信憑性はいまいち定かではないが、賭けてみるには申し分ないだろう。
というよりも、彼女は賭ける以外、考えてなかった。
アリスは、“死ぬ事が出来ない”呪いにかかっていたから。
そんな彼女にとって、『人を死に誘い込む』という現実では有り得ないようなものは、信じられない程のものではなかった。
――――――――――。
最初のコメントを投稿しよう!