1章

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アリスは死に焦がれていた。 何故なら、彼女は呪われていたから。 この世界に生きている意味を彼女は見いだせない。 この世界に居ることが苦痛なのだ。 だからこそ、彼女は列車に乗り、窓から外の景色を見つめ、思いを馳せる。 生きる事の無意味さを。 そして、死んだ後の世界を。 だが、今日の彼女は珍しく全く別の事に思いを巡らせていた。 いや、ただわくわくしていた。 最近、ここから離れた小さな町に死神がいたという情報を掴んだのだ。 信憑性はいまいち定かではないが、賭けてみるには申し分ないだろう。 というよりも、彼女は賭ける以外、考えてなかった。 アリスは、“死ぬ事が出来ない”呪いにかかっていたから。 そんな彼女にとって、『人を死に誘い込む』という現実では有り得ないようなものは、信じられない程のものではなかった。 ――――――――――。
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