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――――――――――。
壁にいくつもヒビか入った、薄暗い建物の中。
昔は誰かが住んでいたのであろう、廃墟と化した建物に少年は住んでいた。
汚れたボロボロの白いシャツに、同じく汚れたボロボロのズボン。
黒い髪は土やホコリで汚れ、やせ細った身体は栄養が足りてない事を示している。
「……」
薄い毛布を壁際の床に敷き、壁にもたれかかってその上に座る彼の目には、悲しみの色が深く映っていた。
少年がこの廃墟で生活を始めて、もう3年が経過している。
誰にも助けを求めず、誰にも知られず。
誰かが入ってきた時は、隠れて過ごした。
なんらかの施設だったらしく、部屋が多いため、隠れるのには適していたのだ。
暮らす為の資金は近くにある家に住んでいる老人の生活を手伝い、稼いでいた。
が、それももう出来ない。
先日、その老人が亡くなってしまったのだ。
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