1章

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もう金は尽き、生活資金を稼ぐ拠り所もない。 現にここ数日、何も食していない。近場にある井戸で水を飲むだけだ。 しかしもはや少年にはそんな事、どうでも良かった。 (また死んだ…) 何故なら少年にとって何よりも辛い事は、他人の死だから。 (きっと俺、もう死んだ方がいいんだろうな) 彼の心はもう、人の死に耐えられる程丈夫ではない。 故に、粉々にへし折れた。 (ごめんな、サン。もう俺、無理だよ) こうして彼の心は、完全に閉ざされる事となる―――。 ――――――――――。
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