1章

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薄汚れた灰色の長袖のシャツの上に、紺のオーバーオールを着ている少女は、16歳ぐらいだろう。 薄い茶髪を紐で後ろに結んだ彼女は、所々土で汚れている。洋服は勿論、顔や手も。 そしてなによりその少女は、手錠で両手を拘束していた。 少女は歩きながら、思う。 (ごめん…。ごめんなさい、村長) 月に照らされるその顔は涙に濡れているが、両手を縛った少女に拭う事は出来ない。 (あんなに良くして貰ったのに、私やっぱり村長のそばにはいられないよ) 嗚咽を漏らさないように、誰にも聞かれないように、静かに涙を流す少女の足取りは重くフラフラとしていた。 やがて少女は木で作られた大きめの門に着く。 山に村を作った時、彼ら村人は山の動物から野菜や身を守る為に、塀と門を作ったのだ。 (だからもう私なんか忘れて、自由に暮らして…。私に縛られないでいいんだよ) そうして少女は門をゆっくりと開け、1人静かに村を出た。 ――――――――――。
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