第3章

16/34
69人が本棚に入れています
本棚に追加
/129ページ
龍秀は驚き、体を捩って翠煉を目で追う。 彼女は空中で一回転し、ふわりと危なげなく地上に降り立つ。そして、一度も振り返ることなく犀下宮-サイカキュウ-へ歩いて行った。 翠煉の背中を見送り、自分も木から飛び降りる。ストンッと着地し、空を見上げれば空は憎らしいほど爽やかで澄み渡っていた。 「とんだ謎が舞い込んだもんだ」 謎とは言わずもがな、翠煉のことである。口調は困ったようなものだったが、表情は酷く楽しそうなものだった。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!