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見るも哀れな姿になっているツンツンを蹴ると、何故かむしろ嬉しそうな顔になる。
「なんだか、こっちの属性に目覚めちゃうかも」
周りを通り過ぎる女子達がツンツンをみて、可哀想と言うよりはザマー見ろと言いたさそうに視線を向ける。
麒麟はさっきより力を込めて踏みつけると、ツンツンの顔面からミシミシと音が出ている。
地面も若干凹んでない!?
「おいおい、痛々しい音が聞こえてるが!?」
「ふっ、ミラよ『神は人に乗り越えられる試練しか与えない』by川藤幸一」
「頭大丈夫か?色々ヤバイぞ」
ある意味凄いコラボだけどね。
未来は麒麟の肩に手をのせ、もうそろそろヤバイと伝えるように首を降る。
それをみて溜め息混じりで顔面から脚を離す。
ツンツンの顔面は麒麟の靴の形にクッキリと痕がついている。
痛々しい…なんて思っていると、未来の肩をトントンと人差し指で優しく叩いてきた。
振り向くとそこには、『やっと気づいてくれた』と書いているメモ帳のページを見せながら立っている秋鹿がそこにはいた。
「えーっと…いつからいた?」
すると秋鹿はメモ帳をめくり、書いたのか?と思うぐらいの早さでパソコンで打ったようなキレイな字で『加藤君が一本背負いされたときからここにいた』と書かれていた。
ついでに加藤とはツンツンの名字だ。
本名加藤陽太。名の通りKYだ。
秋鹿は声が小さいからどこかのネクロマンサーのように紙に書いて意思を伝える。
『これからカラオケ行くんでしょう?』
「そうだけど、和木さんってカラオケで歌った事ある?」
『一度もないよ?だから凄く楽しみ』
秋鹿は飛びきりの笑顔を見せる。
ツンツンがもし顔面を踏みつけられて目を負傷していなかったら、携帯のメモリーが無くなるまで写メを撮っていただろう。
行ったことがないと聞いて、少し不安だが麒麟達が上手くやってくれるだろう。そう思いながら僕達はカラオケへ向かった…
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