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「あぁーーーーー!!もう最悪!!」
帰り道四人は最後の超音波で耳鳴りが治まらず、麒麟が不機嫌になっている。
道は一本道で横には家がズラッと横並びになっている。
夕日は傾き、空は茜色に染まっていてヒグラシも鳴き始める。
「ホントにバカじゃないの!?考えれば分かるでしょ!!一般常識よ常識!!」
「俺は常識なんかに囚われないからな」
「意味わかんないし自重する気無いのかよ!!」
火に油を注いでるよ。
明日が恐いな…
歩いて行くとY字の道になっている所に着いた。
カーブミラーに日が当たって反射している光がやけに眩しい。
未来の家だけ右方の道を進んでいくのでお別れになる。
「じゃあここで」
手を降ると皆も合わせて手を降ってくれた。
クルリと前へ向き直り帰り道を進んでいく。
この道は普段から人通りが少なく、夜になるとほとんど人は歩いていない。
右肩にかけていたバックを左肩にかけ直し、ズボンの右ポケットから携帯電話を取り出す。
画面を見ながらメールを打っていると前から人影がこちらに走って来るのがわかった。
誰だろう?こんな時間に…
人影はだんだん近寄ってくる。
よく見ると帽子をかぶっているからよくわからないけど自分と同じ位の少女だ。
そして未来を通り過ぎて走り去る。
…え?
今の顔って…
金髪で目が青色だったが間違いなくその顔は未来を鏡に移した顔とそっくりだった。
そっくりと言うよりも生き写しと言ったほうがいいのだろうか。
それぐらい似ていた。
未来は追いかけようと携帯電話をポケットにしまい、肩にかけていたバックを斜めにかけて走り出す。
「ちょっと待って!」
そう呼び掛けるが気づいていないのか足を止める素振りはない。
てか足早!!
ずっと走っているのに追いつくどころかむしろ離されている。
さっきまでトラック一台分くらいしか離されていなかったのに、今では手のひらに乗るぐらいの大きさに見える。
少女はさっきツンツン達と別れたY字路に差し掛かるとピタリと足を止めコートのポケットから黒色のカードを取り出す。
なんだあのカード…
見てると何だか胸がドクドクする。
日が落ちてきて寒くなってきたのか白い息が視界に映る。
少女は手に持っているカードをカーブミラーに向けて自分の顔の目の前でスライドさせる。
「ゲームオープン」
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