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俺は黙ったまま中に入る。
もちろん、八乙女に興味があるわけじゃない。
きっと、さっき聞いた音に心を奪われたからだ。
「先輩なんで今更ここに?」
えっ?
今更って、俺今日初めてあの音を聞いたはず。
「俺、毎日弾いてたんだけど」
「嘘だ、俺は今日初めて聞いたんだ」
「やっぱり、サッカー馬鹿だから聞いてなかったんだろ?」
そうかも。
今まで周りの音なんか何も気いてなかったかも知れない。
「先輩、サッカー以外なにも知らないんだね」
音楽室の広いまどを見つめながらいった。
そうなのかな。
勉強もなにもかも、わからないことばっかなのかも。
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