丸印

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「いや、失礼、私は渡元雄と言ってね、伊原清太郎と静香さんの古い友人だよ」 「おばさん達の?」  球太はその言葉に、男性の様子を観察する。年齢は静香と同年代だろうと当たりを付けた。身なりからすると、かなり裕福な男性に見える。なるほど、二人の友人でもおかしくは無いな、等と考えていた。もっとも、屋敷にいるのだから、知り合いであることは間違いないのだが。 「ああ。私が二人を引き合わせたような物だからね。二人の式にも出席して、君とも顔を合わせているんだよ。といっても、君はまだ子供だったから、覚えていないだろうけどね」  渡はそう言うと、懐かしそうに目を細める。
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