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「ええ」
静香は感情のこもらない声で応えると、手帳を受け取った。そして、そこに記されている名前を上から眺めていく。
「この人とこの人」
そんな言葉を呟きながら、球太の書いた名前の隣に印を付けていく。
「この人は、もともと泊まる予定だったのが、急用ができたからと急遽帰ったのよ」
そんな声を球太は聞くともなしに聞いていた。
「あら、この人、そうだったかしら。でも、泊まらなかったからどちらでも同じね」
静香は首を傾げながらそんな事を言っている。そんな中、球太はわずかな引っかかりを覚え、しかし、それが何なのか分からず、気持ちの悪い思いをしていた。
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