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廊下を進むと、向こうから二十歳前後の見知らぬ男性が歩いてきた。球太は黙礼だけで通り過ぎようとしたのだが、相手が呼び止めてくる。昨日もこんな事があったな、と思いながら何ですか? と応えると、
「あなたが林さん?」
「ええ。そうですが。あなたは?」
「俺は渡ですよ」
昨日、父親とも同じような会話を交わしたなと思いながら、球太は再度、頭を下げた。
「昨夜、父からあなたのことを聞いてね。少し話してみたくなったんだ」
「はあ」
そういえば、渡が自分のことを気にしていた理由は何だったのだろう? と言う疑問が再び思い出された。
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