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「いえ、私は大丈夫です。それよりも」
百合はそう言って、大樹に視線を投げる。大樹はぶすっとした表情で球太をにらみつけていた。その裏には朋香を失った事による、深い悲しみがあるのだろうが、それを表に出さないために無理矢理作り出している表情のように、球太には思えた。
球太はなんと言っていいか分からず、入り口で立ち尽くす。
「球ちゃん、立ってないで座ったら?」
静香の言葉に救われた思いで、球太はそこにあった椅子に腰掛ける。
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