白色

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門の前に車を停めると獲物を見つけた肉食獣かと言わんばかりの嬉々とした笑顔でこちらに向かってくるのは叔母の姫さんだ。 特徴的なトリプルテールがゆらゆらとご機嫌に揺れる。 「弁護士の私を前にして未成年略取とはいい度胸でらっしゃいますねぇ西野せ・ん・せ・い?」 「たとえそれで捕まったとしてもお前にだけは弁護を頼みたくねーな」 「あら私は率先して弁護を引き受けたいくらいだけど? だって検察の起訴内容について『異議なーし』って答えるだけでお金が貰えるんだもの」 「弁護する気全く無ぇじゃねえかよ」 「事実を捻じ曲げたり隠匿したり誤魔化したりするような弁護士にはなりたくないからね」 西野先生と姫さんのやりとりは毎度漫才のようになるので聞いてて飽きない。 皐月ちゃんも2人の掛け合いを聞いて吹き出していた。 「それで西野タクシーの料金はおいくらかしら?」 「初乗りもメーターも無い超優良タクシーでございます。 それよりお前がいるなら丁度良かった。 後で横山を家まで送り届けてくれ」 「後で…? あぁうちに用があるのね。別にいいわよ」 「俺なら大丈夫ですよ。歩いて帰れます」 「まあそう言うなよ。教師としては日が落ちてから高校生を出歩かせるわけにはいかねぇだろ」 西野先生が実に先生らしい事を言っている。 普段の言動や態度は傍若無人の限りを尽くしているが、やはり根は真面目な教師… 「本音としては、もし蒼汰君が補導されたりしたら生活指導員としての仕事が増えるから面倒臭いってところかしら?」 「よく分かってんじゃねえか元不良娘」 私の感動を返して。
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