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目覚まし時計が鳴り響く5分程前に目を覚まして体を起こす。
頭を掻きながら立ち上がって制服を身に纏う。
何年も朝に同じ行動を強いられる学生は無意識のうちに今の過程をこなしていくようになるものだ。
頭が覚醒して意識がハッキリした頃にはもう登校準備は万端だ。
窓を開けて空を仰ぐ。
今日は雲一つない晴天。
空は青色一色に染められている。
「まぁ…青って言っても俺にとっての『青』だけどさ」
独り言を呟きながら部屋を出て隣の部屋の扉を叩く。
「おい兄貴!
朝だぞ起きろ!」
「なんで可愛い幼なじみでもなけりゃ、まして女とかでもないお前に毎朝起こされなきゃならないのかなぁ」
憂鬱という文字を顔全体で表現しながら部屋から出て来たのは兄の昴(すばる)。
眼鏡をかけていないせいなのか、焦点が定まっていない。
「文句言うなら自分で起きろよな」
「いやぁ…まぁ…そうなんだけどさ…ぐぅ…」
器用にも立ったまま睡眠モードに移行しやがったので放置したまま階段を下がる。
キッチンへたどり着くと、毎朝毎朝よく飽きないなとうんざりする光景が目に入る。
父さんと母さんがキッチンの影でべたべたべたべた…
歳を考えてほしいよ
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