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冷たく鋭い眼差しが、一瞬だけ霄瓊に向けられた。
「ああ」
それきり会話は途切れ、二人は荒れ果てた大地を黙々と進んだ。
やがて辺りに転がる建物の瓦礫がまばらになって来た頃、静嵐が不意に足を止めて短く言った。
「構えろ」
それを聞いた霄瓊の瞳が強く静かな光を宿すのと同時に、砂煙を巻き上げて巨大な異形の生物が現れた。
甲高い鳴き声が、耳をつんざくように響き渡る。
餌を求める獰猛な目が、二人を捕らえ凶暴さを増した。
その様は、まさしく怪鳥【かいちょう】。
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