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夜の間降り続いた雨は、夜明けと共に止んだ。
湧碕【ようき】は腰を上げ、建物から外に出た。
見上げた空は、皮肉な程に晴れ渡っている。
小さく溜息を落として、視線を地上へと戻す。
目に映るのは、荒廃の大地。
崩れ落ちて瓦礫と化した建物の残骸。
時折吹き抜ける風が巻き起こす砂嵐。
緑など、目を凝らしても見付からない。
かつては栄えていた人間は、もうほんの一握りしか生き残っていない。
皆が唯一の居住空間である建物の中で、身を寄せ合って生活している。
他の地域がどんな状況か確かめる術は無いけれど、きっと何処も同じだろうと思う。
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