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静嵐と霄瓊がどんな関係なのかは、全くの謎に包まれている。
恋人と言える程の甘い雰囲気は無い。
その間に漂う空気は張り詰めていて、多くを語らない二人に深く重い事情があると感じさせる。
だからこそ、願いたくなるのだ。
いつも何処か苦しそうな二人が一緒にいる間に、少しでも暖かさが増えて行けば良い。
未来が見えないから、ささやかな幸せを願う。
全て勝手な願いではあるけれど。
「あっと、そうだ。霄瓊ちゃんに渡す物があるんだ。中に入って、待っててくれる?」
「はい、分かりました」
素直に頷く霄瓊の横で、静嵐は相変わらず冷えた瞳をしている。
その腕を再度肘で突き、からかうような口調で言う。
「親友の計らい、感謝しろよ。霄瓊ちゃんと二人きりで、仲良く待ってろよな!」
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