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その中から一つを取り、湧碕は深く溜息をついた。
「こんな物を女の子に持たせるなんて、間違ってるよなあ……」
呟いた表情は、珍しく暗く沈んでいる。
女の子は、戦いなんて嫌がるものだと思っていたけれど。
戦わせるべきでないと思うけれど。
それでも、彼女は選んだ。
自ら、危険で満ちた外へ出る事を。
きっとあの少女は、外見からは想像出来ない程強い。
多分、湧碕が案ずる必要など無い位に。
でもその強さに、柔らかな微笑みに、いつも何処か痛みが隠されているのは分かるから。
大切にしたいと思う。
此処に住む人達に優しくて、いつも微笑んでいてくれる彼女は。
この状況でも、確かに救いを与えてくれる。
折れそうになる心を支えてくれる。
その事に、静嵐も早く気付けば良いのに。
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