「勇者物語」

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恐らく俺達の事を世間知らずの良いカモだと思ってたのだろう。 だが、俺は二十歳。 それなりに物を見る目はある。 「アラン、別の店をあたろう」 「う、うん」 「――ま、待ってくれ」 俺達が立ち去ろうとした時、おっさんが回り込んできた。 「俺が悪かった。ちゃんとした物を見せるから」 どうにも信用出来なかったが、必死になっているおっさんを見ていると、無下に扱うのも躊躇われた。 「はぁ、分かったよ。で、何か良い武器はあるのか?」 そうこなくっちゃ、とおっさんは宝箱の中からゴソゴソと何かを取り出した。 「見て驚くなよ、この剣は何でも切れる代物で、この盾は絶対に壊れない――」 俺達は足早に店を後にした。
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