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右手に『ネギ塩カルビ弁当』を引っ提げ、家路につく。 財布の中から野口さんが一枚消えてしまった。 早い所、就職先を見つけなくては……。 焦燥と食欲に苛まれながら歩いていく。 「――あれ?」 その違和感に気づいたのは、十字路を左に曲がった時の事だった。 通い慣れ親しんだ道の途中に、見慣れない景色。 「なんだ、これ」 そこには、今朝まで存在しなかった古風な建築物が異風堂々とそびえていた。
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