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「本当にかったるい」とまだ朝食を食べている達郎たちを見ながら呟いていた。
「いってらっしゃい」と達郎たちは善夫を玄関先で見送る。「行ってくるわ。戸締まりちゃんとしとけよ。」ときちんと言い聞かせてた。
善夫の家から高校までの距離は走れば20でつく距離だ。
善夫はあんまり英語の先生の鈴原が好きでは無かったので10分遅刻して教室に入った。
教室ではみんなきちんと補習を受けていてきちんとしていた。善夫は何も言わず教卓にあるプリントをとり自分の席に座った。もちろんそんなことは鈴原が許す訳がない。鈴原は善夫に近づいてきて「なんで!?」と言ってきた。善夫は鈴原の言葉に意味が分からなかったので無視をしてプリントをやり始めた。「なんで!?」「なんで!?」と鈴原があまりにも言うので善夫は「すいません。本当に…」と言って謝った。鈴原はもうめんどくさくなったのか、善夫だけにかまってられないのか善夫から離れ黒板に問題を書き出した。「じゃあ、この問題を馬場やってみろ」と言い、馬場を指差した。「おいおいあんな難しい問題誰も解けないだろ」と周りの生徒たちがざわめく。馬場春子は英語はめっぽう苦手で内気な女の子。こんなの解けるはずがない。誰もがそう思った。春子は「すいません。わかりません。」と弱々しい声で鈴原に言った。鈴原は「わからないじゃなくて一応何かかいてもらわないとなぁ。授業進まないよ。」と春子を攻め立てた。「本当にすみません」春子は泣き出しそうだ。鈴原はそんな春子を見てニアニアしている。周りの生徒たちもだ。「こんなのもわからんのか。本当に何しに来たん?」と鈴原はため息をついた。「ふざけんなよ。お前のそんなとこが気にくわねぇーんだよ。いい加減にしろよ!。」と遂に善夫は鈴原に向かって気持ちをぶつけた。みんな呆然と善夫の方を見ている。それはそうだ。みんな善夫は普段静かで温和な性格だと思っていたからだ。そんな善夫が暴言を言うなんて信じられないことだったからだ。鈴原も呆然と立ち尽くしていた。春子も善夫を見ている。「鈴原も気にいらねぇーけどお前らも気にいらねぇーよ!」と言い残し机を叩きつけ善夫は教室を出て行った。
「やってしまった」善夫はため息をついた。今までの善夫がつくってきたキャラを全部捨て去るような行為をしてしまった。その行動に後悔をしたが、その後悔よりもなんだかわからない満足感が善夫にはあった。
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