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「そ、それより、これは一体何なのよ」
「その先に行けばわかるよ。」
そう言うと彼は人と同じくらいの高さに切られた布の切れ目から奥に入って行ってしまった。
「あっ…」
彼を引き止めようとした腕は行き場を失って下に垂れる。
私は考える。
このまま逃げてしまおうか――いや、そんなことをしても待ち受けていた警察に見つかっておしまいだ。
――一度捨てた人生だもの。どうにでもなれっ。
私は後にも先にも残された道はこれしかないのだ、と自分に言い聞かせ勇気を振り絞って奥へとそぉっと入る。
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