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最初は布の隙間から見るだけだったが、次第に自然と身体が中へと入って行く。 「…何、ここ…」 「あ、やっと入って来た。逃げたらどうしようかと思っちゃった。」 彼の言葉は私を素通りする。 布の奥にあったのは、それはもう想像を絶するものだった。 ビルに挟まれ、空に延びる広い空間。後ろもビル。両端もビル。 私はやっとこの大きな布の役割を理解した。 前からの死角を作る為なのだ。 ゆっくりと辺りを見回す。一番手前には煉瓦が二、三段積まれコの字に壁を作り、その中には火が炊かれている。形はキャンプでよく使用するようなやつだ。 左側には木箱が無造作に積まれ、男の子が何かに夢中になっていた。右側は何もなくあるのは壁だけだった。それらの中心、その奥に地面より少し高くしてあるコンクリートと、それに覆いかぶさるように立つ差ほど大きくないテント。
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