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「んじゃ今から自己紹介をしよう」
少年が提案した。
「…名前くらいは聞いてもいいでしょ?」
彼は上目使いで下から覗き込みながら私に聞いた。
「…ええ。」
彼の顔がぱあっと明るくなり、私もつられて微笑む。
んじゃ俺から、と勢いよく手を挙げる。
「俺はね、結衣って言います。結衣でいいよん。ちなみに16才の高校生です。これから仲良くしてね」
とピースを作って私に向けた。私もピースを彼に返す。
「次はこいつ」
結衣と名乗るその少年は子犬のようにはしゃぎながら続ける。彼が指した方を見ると、そこにはぺたんと座りこんだ結衣より少し小さい男の子がいた。
「こいつ、和幸。みんなはカズって呼んでる。ここでは最年少で、…性格が難しい奴だけど仲良くしてやって」
私はカズ君に笑いかけたが、ただ無表情に見つめ返しすだけで、ふいっとそっぽを向いてしまった。
「こら、カズ。失礼だろ」
そう言って胡座をかいて座っていた男の手が、カズと呼ばれている男の子の頭を鷲掴みにし、彼の顔が私の方に向けられる。その顔はとてもふてぶてしく、そして私を睨んでいるようでもあった。
最後は…
「あー俺ね、俺は司。よろしく」
そう言って手を差し出す。私もそれに答えて手を差し延べる。
「…よろしく。私は紗耶って言うの。紗耶でいいわ。これから仲良くしてね」
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