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もし、今ここで彼等と遭遇でもしたら私もただでは済まないだろう。
こちらの静けさとは打って変わって、看板の電気等がきれいに並んでほんのり明るく賑わう街。
その中をサイレンの音が走り抜ける。
そう、私を捜しているのだ。
私は自主する気にもならなかった。
――悪いのは奴だもの。私は悪くない。
そう自分に言い聞かせるのも虚しく、震えは未だ続いていた。
――ぅう…恐いよぉ…グズッ
震えも、そして涙も止まらない。
ガサッ
脇道の更に深い闇の向こうから何か物音が聞こえ、顔を埋めたまま身体を強張らせる。その途端に涙も止まる。
リン――
鈴の音がこの狭い道に澄み渡る。
――鈴…?
私はゆっくり顔を上げる。
にゃー
そこには目を黄色に光らせた黒猫がごみの山の間から顔を覗かせ、私を見ていた。
――ねこ…そういえば、うちのラン…どうしよう。きっと今頃寂しくて鳴いてる…寂しい思いさせてごめんね、ラン…
私は自分の飼っている猫と、目の前にいる猫の姿を被らせる。
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