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蜘蛛はしばらく私を撫でた後、またどこかへ行ってしまいました。私は少し安堵して、蜘蛛が消えた先を見つめておりました。
闇に溶けるような感覚に恐怖を覚え、明日の朝陽を浴びられることを祈りました。朝になれば、蜘蛛はきっと戻るでしょう。そんなふうに考えておりました。
朝陽を背に糸を伝い蜘蛛が現れる姿を想像しました。私のこのどうも可笑しな気持ちの揺らぎは、蜘蛛のせいなのでしょう。先程から糸が揺れるのを僅かばかり期待している自分が何とも滑稽です。
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