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日が沈む時でした。正確には日が沈んだかどうか私にはわかりませんが、彼が夕日が眩しいと口にしたのできっと日没なのです。
蜘蛛は詩を唄いました。私の側で優しく唄いました。
私はひどい眠気に襲われました。何も感じないはずの身体がふわりと浮く感覚がします。そして急に心細さと寂しさが沸きました。
「俺も少しの間寂しい」
蜘蛛は私の心を読んでいるようでした。わかってもらえたことは、安らぎと喜びを私に与えてくれました。
ねぇ、私はこの太陽と共に沈むようですよ。あなたは寂しいと感じますか?
「あぁ」
ありがとう
「すぐだ」
え?何がです?
「すぐにまた話せる」
……………そんなことをしても何の得にもなりませんよ。あなたには生きていてほしい。
「嘘だ。一緒にいたいと思っているだろ?」
……………
「俺はお前といたい」
ひどいですね。最後くらい綺麗に飾りたいのに。
「飾らせるわけないだろ。揺れるお前が一番美しい」
――――――
――――
あなたを道ずれにしたい。
1人でいくのは嫌。
「蜘蛛、あなたが欲しい」
「やるよ、好きなだけ。お前は残りの時間と心をくれただろ」
少しの間お別れです。
「ああ。おやすみ」
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