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体が昨日より弱っているのを感じます。喉が渇くのは仕方のないことのようです。いくら私が生に執着していなくても、私の喉は潤うことを望むのですから。 「強情なやつだ」 今朝、蜘蛛にそう言われました。朝露を飲むかと進められたので、綺麗な雫を私のために取ることはできないと断ったからです。 その時、初めて蜘蛛に表情があったように見えました。困ったような、嬉しそうな、どっちともつかないような顔をしておりました。私はふっと、飲みたいと答えていたら蜘蛛はどんな顔をしただろうと考えました。 「また、どこかに行くのですか?」 蜘蛛が私に背を向けたので、私は何とはなしに聞きました。蜘蛛は振り返り、私を撫でると無言で去りました。 不思議なものです。蜘蛛がいなくなると私は近くの朝露を舐めていました。また、蜘蛛が戻ってきた時に生きて蜘蛛の顔を見たいと思ったのです。
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