駅のホーム

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電車から降りて、 少しの間を空けて隣を 歩く俺らには会話はなくて 別に気まずいとか、 そんなことはなかったけど ほんのちょっとだけ、 息がしにくかった。 ポンポン、 肩を叩かれて反射的に 振り返ると 「あ、リーダー」 「…おあよ。」 相当眠いのか、 いつも以上にとろんと して おはよ すら 言えてないリーダーがいた 「…慧くん、」 おはよ ふわっ、て。 さっきまで寂しそうな顔 してたくせにそんなの わからないくらい 幸せそうな顔で亮ちゃんは笑った …そんな顔、するくせに 「慧くんまた絵?」 「んー…、そら描いた」 「へえー、コンクールは?」 「…だめ。」 俺のだもん。 ちょっとふくれて言った リーダーにまた、 亮ちゃんが微笑む。 怖い、て言うわりには 亮ちゃんからは 大好きしか感じられなくて 愛しいがいっぱい溢れてる …バカだな、亮ちゃんは。 「ねえ、リーダー?」 「んあ?」 「亮ちゃんからね、」 大事な話があるってさ 「ちょっ…浅葉ちゃん?!」 「ま、がんばれ」 だっ、と一気に走って 改札までの階段を かけ上がる。 …言わないから、 怖いんだよ。 言えないから不安に なるんだよ 相手のすきがわからない なんてウソ。 自分自身がどうにでも すればわかる方法なんて いくらでもあるんだから ねえ、イチ。 大好き。 だいすきだよ。 大好きな君にすきだと 伝えるため俺は今日も 電車に乗って 君に会いに行く。 おわり →あとがき
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